
- 「買い置きの飲料や食品がキッチンの収納に入りきらない」
- 「調理台や床にストック品が置きっぱなしになっている」
- 「うちにはパントリー用の部屋がない」
キッチン収納に悩む方から、こうした声をよく聞きます。
結論、今の家にパントリー専用の部屋がなくても、キッチンまわりの壁面や近くの物入れ、階段下などの条件に応じて、パントリーの後付けを検討できます。
独立した小部屋をつくる方法だけでなく、壁面に棚を設けて「食品ストックの定位置」をつくる方法も、立派なパントリーリフォームです。
ただし、どの家でも同じ方法が取れるわけではありません。壁の構造、既存収納の状態、しまいたい物の量と重さによって、現実的な方法と工事範囲は変わります。
この記事では、「わが家なら、どこに、どの程度の工事でつくれるか」を判断できるように、今の間取りで候補になる場所、必要な工事と費用の考え方、収納物から考える広さ・棚・動線のポイントの順に整理します。
目的は、パントリーという部屋をつくることではなく、食品や日用品をしまいやすく、取り出しやすくすることです。
パントリーはリフォームで後付けできる?
パントリーとは、キッチンの中や隣接した場所に設ける、食品・飲料・日用品などのストック置き場です。
人が入れるくらいのサイズの小部屋を指すことが多いのですが、壁面に棚を並べただけの収納も役割は同じなので、この記事では棚だけの形も含めて「パントリー」と呼びます。
既存住宅で現実的なのは、キッチン横や背面の壁に棚を設ける「壁面収納型」と、近くの物入れや隣室の一部を転用して出入口が1つの小部屋にする「ウォークイン型」の2つです。
新築の間取り紹介でよく見る、出入口が2つあって通り抜けできる「ウォークスルー型」は、壁の撤去や開口の新設を伴うことが多く、既存住宅では条件のハードルが高くなります。
今の家に合う方法を選ぶ流れ
パントリーの後付けは、次の順番で考えると、自分の家に当てはめやすくなります。
- 今、キッチンの収納に収まっていない物を書き出す(種類・量・重さ・使う頻度)
- キッチンから近い順に、棚を置ける壁面、近くの物入れ、階段下、隣の部屋の一部を候補として見る
- 棚の追加で足りるか、既存収納の改修が必要か、間仕切りの変更まで必要かを判断する
先に「何畳のパントリーにするか」を決めてしまうと、収納したい物と棚の寸法が合わず、使いにくい収納になりやすいため、この順番が大切です。
今の間取りで候補になるパントリーの設置場所
既存住宅で候補になりやすいのは、キッチン横・背面の壁面、近くの押入れ・物入れ、階段下、隣接する部屋の一部の4か所です。
場所が空いているからといって、無条件に転用できるわけではありません。場所ごとに「できる工事」と「その場所ならではの注意点」を見ていきます。

キッチン横・背面の壁面に棚を設ける
◼︎できる工事
家電や冷蔵庫でふさがっていない壁面に、可動棚を取り付ける、既製の壁面収納を設置する、造作の棚を組む、といった工事です。奥行きの浅い棚でも、缶詰・レトルト・調味料のストックなら十分に収まります。
◼︎この場所ならではの注意点
棚を固定する位置に下地があるか、冷蔵庫や食器棚の扉の開閉と干渉しないか、通路幅が狭くならないかの3点です。通路をふさぐ位置に奥行きの深い棚を置くと、収納は増えても調理がしにくくなります。
既製のカップボードや背面収納など、製品の選び方と比較は以下の記事で扱っています。
>>キッチン収納リフォームの費用相場とメーカー別おすすめ製品を徹底比較
近くの押入れ・物入れを改修する
◼︎できる工事
キッチンから数歩の範囲にある和室の押入れや廊下の物入れは、床・壁・扉がすでにあるため、内部の工事で済むことが多い場所です。中段や襖を撤去して可動棚に組み替える、内装を張り替える、扉を引き戸や折れ戸に交換する、照明を追加する、といった工事が考えられます。
◼︎この場所ならではの注意点
奥行きと、今入っている物の移動先の2つです。
押入れは布団収納を前提に奥行きが深いため、そのまま棚を入れると奥の物が取り出しにくくなります。手前と奥で使い分ける、引き出し式のケースを組み合わせるなど、奥行きに合わせた棚の計画が必要です。
また、布団や季節家電の置き場所を決めないまま転用すると、収納の困りごとが別の部屋に移るだけになります。
このほか、中段を取り外して問題ない造りか、北側や外壁に面していて湿気がこもりやすくないかも、事前に確認しておきたい点です。
階段下のスペースを活用する
◼︎できる工事
階段下の物入れに棚を組む、壁で閉じられている場合は開口を設けて扉を付ける、内装を仕上げる、といった工事です。キッチンやダイニングに近い階段下が候補になります。
◼︎この場所ならではの注意点
高さと取り出しやすさです。階段下は天井が斜めで奥ほど低くなるため、立って取り出せる範囲と、かがまないと届かない範囲を分けて計画します。
奥の低い部分は使用頻度の低い物に充てるのが基本ですが、災害用の備蓄品も、取り出しやすく期限を確認しやすい場所に置くのが原則です。
農林水産省も、備蓄品をめったに使わないからといって天袋や収納庫の奥に押し込まないよう案内しています。
開口を新しく設ける場合は、階段を支える構造に関わる壁ではないかの確認が必要です。すべての壁が自由に開けられるわけではありません。
隣接する部屋の一部を区切る
◼︎できる工事
キッチンに隣接する和室や洋室の一部を間仕切りで区切り、出入りできる開口と扉を設けて内部に棚を組む工事です。使わなくなった和室の一角は候補になりやすく、ウォークイン型のパントリーになります。
◼︎この場所ならではの注意点
区切った分だけ元の部屋は狭くなります。残る部屋の使い方と、窓の位置(採光や通風が悪くならないか)を先に確認してください。
キッチン側から出入りするために既存の壁に開口を設ける場合は、その壁が建物を支える壁ではないかの構造確認が必要です。
壁の撤去や部屋の再配置まで検討する場合は、以下の記事も参考にしてください。
>>間取り変更リフォームでできること|費用相場・壁撤去・水回り移動の注意点を解説
パントリーリフォームに必要な工事と費用の考え方
パントリーの後付け費用は、「棚を足すだけ」か、「既存収納を改修する」か、「間仕切りや出入口を変える」かで大きく変わります。
ただ、工事範囲の違う金額を並べて比べても、わが家の予算を判断する材料にはなりません。棚を足すだけの金額と、間仕切りをつくる金額では、含まれる工事がまったく違うからです。
費用を比べる前にそろえる条件
費用は、工事の区分と、その区分の中に何を含むかがそろってはじめて比較できます。既存住宅での後付けを3つの区分に分け、見積もりを比べるときにそろえたい条件を整理しました。
| 比較する工事 | 費用を比べる前にそろえる条件 |
|---|---|
| A.既存スペースへの棚追加 | 棚の寸法・段数・仕様、取付費、下地補強の有無 |
| B.押入れ・物入れの改修 | 撤去、棚の設置、内装補修、建具交換の範囲 |
| C.間仕切り・出入口を伴う新設 | 間仕切り、開口、棚、内装、電気工事の範囲 |
AからCへ進むほど、費用と工期は大きくなるのが一般的です。差を生むのは、棚そのものの価格ではなく、壁や床をつくり直す木工事、照明などの電気工事、内装の仕上げ工事です。
だからこそ、費用を抑えたいときは、まず既存のスペースを生かせないかを考えます。壁面に棚を足す、今ある物入れの中を組み直すといった方法は、解体や内装補修が少ない分、費用も工期も抑えやすくなります。
ただし、棚を固定する下地補強や、重い物を載せる棚の強度を削るような節約はおすすめしません。
飲料のケースや米袋を載せた棚が傾いたり外れたりすれば、収納としても安全面でも本末転倒です。
見積もりで確認したい追加工事
見積もりでは、棚や収納本体の価格だけで判断しないでください。次の項目が「含まれているのか、別途なのか」を確認しておくと、追加費用の見落としを防げます。
- 解体・撤去・処分:押入れの中段や襖、既存の棚を外す費用と廃材の処分費
- 下地補強:棚受け金物を固定する位置に下地がない場合の補強工事
- 内装補修:棚や間仕切りを設けたあとの壁紙・床の補修範囲
- 扉(建具):扉を付けるか、付けるなら引き戸・折れ戸などどの形か
- 照明・コンセント:奥まった場所の照明と、家電を使う場合のコンセント(電気工事は有資格者による施工が必要)
- 換気:湿気がこもりやすい場所を転用する場合に、換気の方法と設備を設けるか
- 養生費:工事中に周囲を保護する費用
市販の収納製品の本体価格だけを見て「このくらいでできる」と考えると、取付費や下地補強で想定より高くなることがあります。
キッチン交換・移設と同時に設ける場合
パントリーの後付けは、キッチン本体を交換しなくても検討できます。壁面に棚を設ける、物入れを改修するといった工事は、キッチン設備とは独立しているからです。
一方で、キッチンの向きを変える、移設するといった計画があるなら、パントリーを同時に設けたほうが壁や床を二度壊さずに済みます。
キッチン本体の交換や移設の工事範囲と費用は、以下の記事で整理していますので、参考にしてください。
>>キッチンリフォームは「交換」「向きを変える」「場所を移す」のどれ?|今の使いにくさから工事範囲を決める判断と費用の目安
「棚を足すだけで済むのか、押入れを改修したほうがよいのか」は、今の収納の状態と、しまいたい物の量次第です。
工事範囲を決めかねている段階でも、現状を見せていただければ、どの区分の工事が合いそうかを整理できます。お気軽に以下からお問合せください。
オヒサマノイエにご相談ください!
解決します。

注文住宅

リフォーム

リノベーション

自宅サウナ

使いやすいパントリーにする広さ・棚・動線の考え方
設置場所の候補が見えてきたら、次は中身の計画です。ここで大切なのは、「広くすること」と「取り出しやすくすること」は別だという点です。
収納したい物から必要な広さと通路を考える
広さは畳数から決めるのではなく、収納したい物から逆算します。
- 量:飲料のケースは何箱、米は何kg、缶詰・レトルトは何個くらいか
- 大きさ:ケース買いする箱や、大きな鍋・調理家電の寸法
- 重さ:飲料・米・調味料の大瓶など、重い物がどれくらいあるか
- 使用頻度:毎日使う物、週に1回程度の物、災害用の備蓄など年単位の物
これらを書き出すと、必要な棚板の長さの合計が見えてきます。
キッチンで使う物をしまう目的なら、4人家族で0.5畳〜1畳程度が目安です。
畳数で判断しにくいのは、ウォークイン型では、棚を設置する面積と、人が立って物を取り出す通路の面積が別だからです。
同じ1畳でも、三方に棚を回せば通路は狭くなり、片側だけなら棚は少なくなります。
壁面収納型は、専用の室内通路を設けずに済みますが、棚の前で物を出し入れするスペースは必要です。
キッチンの通路がその役割を兼ねることになるため、通路幅が削られないかを確認します。
扉を付ける場合は、開閉のスペースも通路に関わりますので、以下の内容も確認しておくことをおすすめします。
- 開き戸は開いたときの軌跡がキッチンの通路や冷蔵庫の扉と重ならないか
- 引き戸は引き込む先の壁面が棚やコンセントでふさがれていないか
- 折れ戸は折りたたまれた分だけ有効な間口が狭くならないか
扉を付けない選択肢もありますが、中身が見えるため、収納ボックスで整える前提になります。
「畳数」ではなく「棚板の長さ」「出し入れするスペース」「扉の開閉範囲」で比べると、方法ごとの違いが見えやすくなります。
収納物に合わせて棚の奥行き・高さ・耐荷重を決める
棚は、収納する物に合わせて、段ごとに奥行きと位置を変える計画が現実的です。収納物と棚づくりの関係は、次のように整理できます。
| 収納する物 | 棚の奥行き・段の位置 | 計画時の注意 |
|---|---|---|
| 缶詰・レトルト・調味料など小さな物 | 浅い奥行きで1列に並ぶ段。目線から腰の高さ | 奥行きが深いと奥の物が見えなくなり、賞味期限切れの原因になりがち |
| 飲料のケース・米袋など重い物 | 物の寸法に合わせた奥行き。下段 | 棚板の厚み、支持金物、壁側の下地への固定をセットで計画する |
| 大きな鍋・調理家電(保管するだけの物) | 寸法に合わせた奥行き。重さに応じて下段〜中段 | その場で使う家電は、コンセントと熱・蒸気を逃がす空間が別に必要 |
| 軽くて使用頻度の低い物 | 浅くてもよい。上段 | 踏み台なしで届く範囲に収まるか |
| 災害用の備蓄品 | 取り出しやすく、期限を確認しやすい位置 | 天袋や収納庫の奥に押し込まない。重い水や液体は下段へ |
棚の奥行きについては、30〜45cm程度が使いやすいとされています。
缶詰や調味料の段は浅めに、飲料のケースや米袋を置く段はその物の寸法に合わせる、という使い分けが目安です。
高さは使用頻度で決め、可動棚にしておくと、家族構成や買い方が変わっても対応できます。
耐荷重は見落とされやすい項目です。飲料のケースや米袋を載せる棚は、棚板の厚みと支持金物の仕様、壁側の下地への固定方法をセットで計画します。
棚板や金物の耐荷重は製品ごとにメーカーの仕様で決まっているため、重い物を載せる段は特に設計段階でご相談ください。

買い物後にしまう動線と調理中に使う動線を整える
パントリーには、性質の違う2つの動線があります。
ひとつは、買い物から帰って重い荷物をしまう動線です。玄関や勝手口からパントリーまでの距離と、途中に段差や狭い通路がないかが関わります。
もうひとつは、調理中に必要な物を取り出す動線です。こちらはキッチンの作業位置から、振り返る・数歩歩くだけで届くかが関わります。
この2つは、同じ場所で両立するとは限りません。玄関に近い場所に設けると買い物後は楽になりますが、調理中に何度も往復するなら、かえって不便になります。
反対に、キッチン横の壁面収納は調理中の取り出しやすさに優れますが、飲料のケースを運び込むには通路が狭いこともあります。
そのため、「玄関に近ければ使いやすい」「回遊できれば家事が楽になる」と決めつけず、わが家では買い物後にしまう頻度と、調理中に取り出す頻度のどちらが多いかで、優先する動線を決めてください。
毎日使う調味料や乾物はキッチン横に、ケース買いの飲料や備蓄品は少し離れた物入れに、と2か所に分ける考え方もあります。
保管環境・照明・家電の使い方まで計画する
食品を保管する場所なので、まず確認したいのは湿気と温度です。北側や外壁に面した物入れ、扉を閉め切って使う小部屋は、湿気がこもりやすくなります。
換気扇や調湿建材が、すべてのパントリーに必須というわけではありません。ただ、湿気がこもりやすい場所を転用する場合や、扉を閉め切って使う場合は、換気の方法を計画段階で検討してください。
照明は、奥行きのあるウォークイン型や、扉を閉めると暗くなる物入れではあると便利です。壁面収納型なら、キッチンの照明で足りることも多いでしょう。
家電は、「保管するだけ」なのか「その場で使う」のかを分けて考えます。炊飯器やオーブントースターをパントリー内で使う場合は、コンセントに加えて、蒸気や熱を逃がすための空間が機器の上部や周囲に必要です。
オヒサマノイエにご相談ください!
解決します。

注文住宅

リフォーム

リノベーション

自宅サウナ

パントリーづくりの参考になるオヒサマノイエの収納例
紹介するのは大阪府茨木市の新築事例です。後付けリフォームの事例ではなく、新築の収納計画の参考例としてご覧ください。

この住まいでは、キッチンの背面にパントリーを設けているのに加えて、キッチンの横にも奥行きの浅いパントリーを設置しています。奥行きの浅い側は、食材のほか書類やファイル類の収納に便利な位置とされています。

キッチン横の奥行きの浅いパントリー。食材のほか、書類やファイル類の収納にも使いやすい位置です
背面で収納量を確保し、横には手が届く位置の浅い棚を置くという組み合わせは、この記事で述べた「収納物の大きさで奥行きを変える」「調理中に使う物は近くに」という考え方の実例です。
同じ事例では、家電収納をたっぷり確保し、ダイニング側の収納には充電式掃除機をしまえるようにコンセントを設けています。
>>施工事例:家事がラクになる工夫いっぱいのオヒサマノイエ(大阪府茨木市)
既存住宅で同じ形をそのまま再現できるとは限りませんが、背面と横の役割分担は、壁面収納型を計画するときの参考になります。
パントリーリフォームのご相談はオヒサマノイエへ

「収納が足りないのは分かっているけれど、棚を足せば済むのか、工事が必要なのか判断がつかない」
パントリーのご相談は、こうした「まだ決めきれていない」段階からで構いません。
オヒサマノイエでは、住空間収納プランナーによる収納提案を行っています。物の置き場所を決めること、物の形・サイズ・使い方を見極めること、そしてそれらに合わせて収納を設計することが基本の考え方です。
出すことより「なおす(戻す)」ことを簡単にすることが、片付く収納につながるという考え方です。
パントリーのご相談でも、「何畳のパントリーをつくるか」から入るのではなく、「何を、どのくらい、誰が使うのか」からお聞きし、既存の間取りの中でどこに、どの程度の工事で収納を設けるのが合っているかを一緒に整理します。
ご相談の前に、次のような情報があると話が進めやすくなります。
- 今のキッチンや近くの収納の写真
- 分かる範囲でよいので、棚を置きたい壁面や物入れの寸法
- 収納したい物(飲料・米・缶詰・日用品・家電など)と、そのおおよその量
- 今、収納で困っていること
もちろん、これらがそろっていなくても問題ありません。現状を一緒に確認するところから始めることも可能です。
オヒサマノイエにご相談ください!
解決します。

注文住宅

リフォーム

リノベーション

自宅サウナ


お手軽LINE相談